初めての体験 32 - 34
(32)
ヒカルは青くなった。這って逃げようとしたが、簡単に捕まえられた。男は
手にロープを持っていた。ヒカルの背中を膝で押さえ付けると、手際よくヒカルを
後ろ手に縛り上げた。
「や・・・やだ!助けて・・・!お願い!」
ヒカルが涙を流して、懇願した。男はにやにや笑うだけで、ヒカルに答えようと
しなかった。
男はヒカルを軽々とひっくり返すと、自分のものをヒカルの口元に近づけた。
男の意図はわかっていたが、ヒカルは躊躇った。それは先ほどまでヒカルの下半身に
納められていたものだ。だが、ヒカルは意を決して、それを口に含んだ。言うことを
聞かなければ、何をされるかわからなかったからだ。
ヒカルは一生懸命奉仕した。涙があふれてきた。涙を流すヒカルを男は面白そうに
見た。顎が疲れても、舐め続けた。涙が止まらなかった。男は満足したように笑うと、
ヒカルの口から自分のものを取り出して、今度は自分がヒカル自身をなぶり始めた。
恐怖で萎えかけていたそれが、再び立ち上がり始めた。手で口で弄ぶ。中途半端に
止められた快感に火がついた。歯で軽く扱かれ、先端を舌でつつかれた。
「あ──────────────!」
ヒカルが堪えきれず高い悲鳴を上げた。寸前で男の口がヒカル自身から離れた。
ヒカルは、自分の放ったもので胸や腹を汚した。
男は、ぐったりと肩で息をつくヒカルの腰を抱え上げ、再びヒカルを貫いた。
ヒカルはもう、男の行動に、抗議の声を上げることは出来なかった。
ぐったりとしたまま、男に揺さぶられ続けた。
(33)
ヒカルが正気に戻った時、もう男はいなかった。ヒカルは裸で転がされていた。
『とりあえず・・・生きている・・・』ホッとしたら、涙が出てきた。
顔も体も、涙と精液で滅茶苦茶だった。泣きながら、ハンカチで汚れを拭った。
体のあちこちがズキズキと痛んだ。
家に帰ってからも涙が止まらなかった。風呂に入り、体中を何度も洗った。
食事もとらず、部屋に閉じこもった。両親が心配したが、真相を話せるわけもなかった。
こんな屈辱は初めてだった。一晩泣いて忘れようと思った。
だが、ヒカルは知らなかった。自分の屈辱の現場を写真に撮られていたことを・・・。
そして、それがネットで販売されていたと言うことを・・・。
「この写真、進藤にそっくりだ・・・。」
「へえ・・・。写真だけじゃなくて・・・・・・や・・・・・・もあるんだ・・・。」
アキラは購入ボタンをクリックした。
「ふふふ・・・。さすがヒカルたんだ・・・。発送が追いつかないぜ・・・。」
男は笑いが止まらないと言った感じで、荷造りをしていた。
宛名には、緒方や和谷、その他の棋士の名前が書かれている。
「近い内に、新商品を仕入れるか・・・」
男は、今日も物陰からチャンスを窺っていた。ヒカルはそれに気づいていなかった。
<終>
(34)
「な・・・何だよ!これ・・・!」
ネットカフェで、ヒカルが偶然アクセスしたページにヒカルの写真があった。
それも、ただの写真ではない。ヒカルが陵辱されている写真だ。
『アイツだ・・・あの時の男・・・』
おぞましい記憶が蘇る。恐怖と屈辱の時間だった。写真を撮られていたなんて
知らなかった。
そう言えば、この前アキラの部屋で見つけた写真・・・。本棚にきちんと
整列された本の後ろに封筒が隠されていた。手にとって中を開けてみると、
写真が入っていた。それを取り出そうとした時、アキラが慌ててヒカルの手から
それを引ったくった。ちらりとしか見えなかったけど・・・自分に似ていた
ような・・・。
それに最近、緒方や他の棋士達の自分を見る目が・・・変・・・。
「ちくしょー!!」
ヒカルは店を飛び出した。飛び出したところであてはない。あの男に会うのも
二度とごめんだ。ただ、自分の写真を見たくない。
「うえ・・・ひっく・・・」
あの時のことを思い出して、涙が出てきた。
ヒカルは、道の真ん中で蹲って泣いてしまった。
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