少年王アキラ 33
(33)
そこではイチリューが窓口のおばちゃん相手に噂話に花を咲かせていた。
「…前王妃が庭を散歩中、産気付いて慌てて入って産んだのが厩舎だったからアキラ王が
競馬好きって噂があるが、ありゃ違うね。俺が見たとこ、王は天性の勝負師だ。
予想を立てている姿なんか思わず見惚れちまうよ。さすが万馬券ハンターの異名を
取るだけあるさ。そうそう、万馬券と言やぁこないだの……」
途切れる事のないイチリューの話におばちゃんは困惑気味だ。
「イチリュー、馬券を買いたいのだが…」
「ああ、こりゃすまん!馬券?ってことはアキラ王はもう予想を立てちまったって事か!
なんだ、話に夢中で気付かなかったよ。折角間近で見れると思ったのにな。や、でも…」
扇子を忙しなく動かすイチリューの話を聞き流しながら、オガタンは馬券を購入する。
だが、頼まれた分とは別に密かに個人的に購入した馬券があった。…単勝で馬番は3。
アキラ王の名が印されたその馬券を見ていると、つい先程触れた王の美しい裸体が脳裏を
掠める。オガタンはグッとその券を握り締め心に誓う。
――いつかきっと、アキラ王の菊門を散らしてみせる!!
センチメンタリズムに浸っている割りに、頭の中は下品なオガタンだった。
その頃、パドックでは………
「そういやぁ、お馬たんってデカチンなのよねん。ああん、茂人、興奮してきちゃった!
兄貴のデカチンが恋しいわぁん(*´Д`*)ハァハァ」
「茂人たん、大丈夫?どこ見てるの??」
茂人が火照った身体をくねらせ、506がオロオロと心配していた。
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