誘惑 第三部 33
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「それじゃあ、ボクが女の子だったらキミはどうする?」
塔矢が女だったら?
デザートに、と、やっぱり買ってきたプリンを食べていたヒカルはスプーンを銜えたまま考えた。
塔矢が女だったらどんなだろう。
……ダメだ。
今だってこんなにキレイなのに、女でこれだけキレイだったらヤバ過ぎる。
それこそ周りがほっとくはずがない。それこそ、和谷だけじゃなくって伊角さんだって越智だって
社だって門脇さんだって、そう、芦原さんとか冴木さんとかだって、皆、ほっとく筈ないじゃないか。
「…ダメだ。」
「…?」
「ダメだ。おまえを野放しになんかできない。
今だっておまえはほっといたらフラフラとあっちこっちの男に引っかかりそうになるのに…」
「…進藤!」
「違うのか?」
「そんな…あっちこっちなんて事、ないだろ!」
「もしおまえが女だったりしたら、危なくって目が離せないよ。
おまえってば自分がどう見えてるかなんて全然わかってないんだから。
おまえ、自分がどんだけ綺麗で周りがどんなふうに自分を見てるかって自覚、全然ないだろ?」
「またか?キミは何かって言うと、ボクのことを綺麗だって言うけど、そりゃ、悪い気はしないけどさ、
でもそんな事言うの、キミだけだよ。自覚って何だよ?キミの主観だけで客観的な話じゃないだろ。」
「そーゆーのが自覚無いっていってんだろ!
そりゃあ、本人に向かっては言わねーだろうがよ、一度ちゃんと鏡見てみろよ。
その上ぱっとみは真面目でご清潔でエッチな事なんか何も考えてません、なーんて顔してるくせに、
ホントはスケベで淫乱でエッチ大好きで、しかもヤるだけだったら誰でもOKなんて尻軽女、危なくて
野放しになんかしとけないよ。」
「進藤っ!!いくらなんでもそこまで言われるほどの筋合いは無い!!」
「違うって言えんのかよ?」
「少なくとも、誰でもOKなんて訳じゃあ、ない。」
少しだけ拗ねたような口ぶりでアキラは言った。
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