初めての体験 33
(33)
ヒカルが正気に戻った時、もう男はいなかった。ヒカルは裸で転がされていた。
『とりあえず・・・生きている・・・』ホッとしたら、涙が出てきた。
顔も体も、涙と精液で滅茶苦茶だった。泣きながら、ハンカチで汚れを拭った。
体のあちこちがズキズキと痛んだ。
家に帰ってからも涙が止まらなかった。風呂に入り、体中を何度も洗った。
食事もとらず、部屋に閉じこもった。両親が心配したが、真相を話せるわけもなかった。
こんな屈辱は初めてだった。一晩泣いて忘れようと思った。
だが、ヒカルは知らなかった。自分の屈辱の現場を写真に撮られていたことを・・・。
そして、それがネットで販売されていたと言うことを・・・。
「この写真、進藤にそっくりだ・・・。」
「へえ・・・。写真だけじゃなくて・・・・・・や・・・・・・もあるんだ・・・。」
アキラは購入ボタンをクリックした。
「ふふふ・・・。さすがヒカルたんだ・・・。発送が追いつかないぜ・・・。」
男は笑いが止まらないと言った感じで、荷造りをしていた。
宛名には、緒方や和谷、その他の棋士の名前が書かれている。
「近い内に、新商品を仕入れるか・・・」
男は、今日も物陰からチャンスを窺っていた。ヒカルはそれに気づいていなかった。
<終>
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