初めての体験 Asid 33
(33)
「と……や…」
本因坊が、か細い、だが、粘るような声でボクに呼びかける。
「ボク、素直じゃない人嫌いなんです。」
汚物でも見るような視線で、ボクは、老人を一瞥した。
「先生は、先ほどからウソばかり…ボクが子供だと思って侮っているんでしょう?」
「これ以上、ボクを騙そうとするなら、ボクはこのまま帰ります。」
老人が、上半身を無理やり起こし、苦しい姿勢から懇願した。
「ま…待て………言う…言うから……全部…」
本因坊は、「本当ですか?」と訊うボクに、何度も頷いて見せた。落ちた…!
訊きたいことは、たった一つ。進藤のことだけだ。本因坊が何人棋士を連れ込んだか
なんてどうでもいい。この老人がどんな風に進藤を抱いたのか…それが知りたい。
「先生、進藤をどうやって汚したんですか?やはり、薬ですか?」
「そう…じゃ…薬をつかって…身体の自由を訊かなくして…」
ボクは、詳しく訊ねた。どうしたことだろう?本因坊への怒りは変わらず胸の中に熱く
滾っているのに、老人の口から語られる事実に次第に興奮していく。この醜い老人が、
可憐な進藤をどのように蹂躙したのか想像しただけで…股間が…。―――ヘンだ…。
いくらボクでも、大事な恋人を酷い目にあわされたのに…こんな………進藤、ゴメン。
|