無題 第2部 34


(34)
なぜ?聞きたいのはこちらの方だ、と緒方は思った。
なぜ、ここへ来た?なぜ、オレを受け入れている?なのになぜ、おまえは泣いているんだ?
そしてなぜ、なぜ、オレにとってはおまえなのだ?
だが、と緒方は思う。
恋に理由など必要なのか?そんなものは必要無い。
アキラの中で緒方が、ドクン、と大きく脈打った。
それは、先程から更に質量を増しつつあった。
「アキラ…少し、キツイかもしれんが…」
そう言って、緒方がアキラの中で動き始めた。ズッ、と緒方がアキラの中から抜け出ようとする
感覚に、アキラの背が総毛立つ。が、それはギリギリでアキラの中に留まり、そして又アキラを
突き上げた。
「あぁあっ!」
アキラの悲鳴があがる。苦痛に顔をしかめ、腰がその攻撃から逃げようと動く。
その苦しそうな様子に、緒方が動きを止め、アキラの背を抱く。
「…めな…で」
痛みをこらえる悲鳴の中で、だが切実にアキラは哀願した。
やめないで、もっと、と。



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