光彩 34 - 36
(34)
暗くて良かった。と、ヒカルは思った。
おそらく自分の顔はトマトより赤いに決まっている。
初めて自分からしたキスだった。
鼻をぶつけなくて良かった。
闇を通して、アキラの困惑が伝わってくる。
もう一度キスをして、アキラの首を抱く。
アキラの体がビクッとふるえ、その手が宙を彷徨った。
アキラは躊躇うようにヒカルの背中に腕を回し、そのまま強く抱きしめた。
しばらく抱き合ったまま動かなかった。
アキラがヒカルの耳元で囁いた。
「?・・・進藤?」
不審そうな、心配そうな声音。ヒカルの行動が読めない。
ヒカルは、アキラを抱く手に力を入れた。
「オレ・・・オレね。塔矢のことが好きだ。」
思い切って告白した。
やっと・・・言えた。心臓がどきどきしている。
そのまま、堰を切ったように話し始めた。
アキラに告白をされたとき、本当は嬉しかった。
それに気づいていなかったのだ。
自分がアキラに避けられて、どれだけ悲しかったか。
自分から離れて行かないで欲しい。
一息にしゃべった。息が切れて苦しい。
アキラの肩口に顔を埋めた。
ゼエゼエという息づかいが、肌を通してアキラに伝わった。
アキラはヒカルを抱いたまま、優しく背中を撫でてくれた。
背中を撫でていた手が、髪や首筋をかすめる。
くすぐったいような、むずがゆいような。
形容しがたい感覚がわいてくる。
直接ふれていないのに、指がどこを辿っているのかがわかる。
もう一度、呟くように言う。
「塔矢・・・好き。」
アキラにしがみついた。
アキラはヒカルの腕を自分の体からほどいた。
ヒカルが離れまいと腕を空で泳がせる。
アキラがその手をとり、ヒカルの指に愛おしげに口づけた。
アキラは今度は優しくヒカルを横たえた。
(35)
あれほど手に入れたいと渇望したヒカル。
ヒカルが自分のものになる。アキラは歓喜にふるえた。
ヒカルのシャツをゆっくりとまくり上げる。
そして、順々に着ているものを脱がしていく。
ヒカルはアキラにされるまま、じっとしていた。
そして、アキラは自分も着ているものを全部取り去った。
肌に直接触れた。愛おしむように、胸からへそのあたりを撫でた。
ヒカルが小さくふるえた。
「怖がらないで進藤。」
酷いことはしない。優しくする。
ヒカルが闇の中で頷いた。
彼は今どんな顔でボクを見ているのだろうか?
もう目は暗闇に慣れていたが、はっきりと顔が見たい。
立ち上がりかけたアキラにヒカルが言った。
「塔矢・・・電気つけないで・・・お願いだから・・・」
声をふるわせて訴えるヒカルに、キスをした。
ヒカルの髪を優しく梳きながら、耳の後ろに口づけした。
「進藤。好きだ・・・」
何度も囁く。何度伝えても伝え足りない。
柔らかい声に安心したのか、ヒカルのふるえは徐々に治まった。
体中をなでさすり、顔、首筋、鎖骨、胸あらゆる所にキスの雨を降らせた。
「あ・・・」
ヒカルが小さく声を上げた。ヒカルの反応を確認するかのように、
何度も同じ場所に口づける。
「や・・・と・・・うや・・・やだ。」
ヒカルが身もだえる。体を捻ってアキラから逃れようとした。
アキラがそこを強く吸って、突起を舌先でなぶった。
「あ・・ん・・んん・・・あぁ」
ヒカルはアキラの肩を掴んで、体をのけぞらせた。
(36)
アキラの与える快感にヒカルは翻弄された。
アキラの側にいる・・・それだけでも嬉しいのに・・・。こんな・・・
頭の中が真っ白で何も考えられない。
アキラの指や舌がヒカルの思考を奪っていく。
「きゃう!!」
ヒカルは妙な声を上げてしまった。
アキラがヒカルのものを口に含んだのだ。
なんてことをするんだろう!汚いじゃないか!
アキラに抗議をしたいと思ったが、体に力が入らない。
全身の感覚がそこに集中している。
頭が変になりそう。やめてくれ!!
「やぁ・・・とうや・・・きもち・・・いぃ」
だが、口から出たのは、全く反対の言葉だった。
恥ずかしい。でも、もう止まらなかった。
アキラの舌に刺激を与えられ、ますます敏感になっていく。
「んん・・・と・・や・・・いい・・・もっと・・・」
アキラが舌先で先端をつついた。
「あぁ──────────!!」
ヒカルは細い悲鳴を上げて、アキラの口の中で果てた。
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