Shangri-La 35
(35)
激しく上下するヒカルの胸の向こうで、アキラの漆黒の髪が揺れる。
(うわー、オレ、口だけでイっちゃったの?
まー確かに暫く抜いてなかったけど、にしても情けねぇ……)
その髪に触れようと、ヒカルは手を伸ばそうとしたが
身体は言うことをきかず、ただアキラを見ているだけしかできなかった。
アキラは自らヒカルの上に乗ろうとしていて、
その頬は幸福に色づき、好色な笑みを満面にたたえている。
そこには確かに、ヒカルの知らないアキラが存在していた。
(オレ、こんな塔矢、知らない…。コイツ、誰だ?)
ヒカルの中の警戒心が、アキラに声をかけさせた。
「嬉しいの…?」
気の利いた言葉が出てこない自分が情けない。
アキラはヒカルの言葉に嬉しそうに頷き、自らヒカルを受け入れた。
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