Shangri-La第2章 35
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ヒカルからの電話は、研究会が早めに終わったとかで
アキラが考えていたより早くにあった。
しかも、今日の夕方のバイトがキャンセルになったから
今から遊びに来たいという。
心の中に溜まっていたいろんなもやもやが、
ヒカルのその一言で、一瞬にしてどこかへ霧散していった。
舞い上がりすぎて、歓迎する言葉がまともに繋がらないのと
荒れた喉で話す事に多少難儀したことで
ヒカルに心配させてしまったようで悪く思ったものの
久しぶりに持てる二人だけの時間が嬉しくて、嬉しすぎて
心がふわふわ済みきった空へと飛んでいってしまいそうだ。
電話を切ったアキラは、家中の窓を開け放して
篭った空気を入れ替えた。
そしてヒカルに対するほんの少しの後ろめたさから、軽く湯を浴びた。
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