闇の傀儡師 35 - 36


(35)
「どうしたの?進藤。」
「あのさ、オレ達、…その、シたんだよな。」
「…嫌だった?ボクなんかが相手で…」
ヒカルがぶんぶん首を横に振った。
「ち、違うよ。塔矢のおかげで助かったんだし、それに、」
小声でボソリと呟く。
「…スゲエ気持ち良かった…。あんな感じになるなんて知らなかった…」
「それは良かった。」
「それでさ、塔矢、……これからも時々…シてくれるかな…?」
「進藤さえよければ。また同じ事が起こらないとも限らないしね。」
怖い事をさらりと言い流されてうえっ、とヒカルが呻く。アキラが可笑しそうに笑い、
ヒカルが怒って唇を尖らす。
カーテンの隙間から眩しい朝の光が差し込んできていた。

棋院会館で数日後二人は顔を合わせた。
やはり全く影響を受けなかった訳では無く、悪夢から解放されたあと
ヒカルは熱を出して寝込んだ。
毎日のようにアキラが見舞い、少しでもヒカルが不安を感じないように見守ってくれた。
いつものように声をかけるアキラと対照的にヒカルは目が合った瞬間少し顔を赤らめた。
自分にとっての“初めて”がああいう形になり、その相手が塔矢だと言う事が信じられないような、
塔矢で良かったというような不思議な感情だった。


(36)
例の写真が完全に来なくなった事をヒカルから聞き、アキラは「そう。」と
安心した表情をヒカルに見せた。
そのアキラが手合いの自分の席に着こうとしたところ、その座ぶとんの上に自分宛の
手紙が置いてあるのに気がついた。
名前と住所があり、切手も貼ってあるのに消印のない、例の手紙だった。
アキラはそれをヒカルに気付かれないよう、そっとズボンのポケットに入れた。
手合いの後で封を開いたところ、中から黒髪を切りそろえた人形が裸でべッドに
縛り付けられ、何か木目のもう一体の人形と腰の部分を重ね合わせている写真が何枚か入って居た。
ニ体の人形は様々な形や角度で腰を合わせられていた。
裏にはやはり“あなたのファンより”と記されている。

夜、自分の部屋で布団に入る前に、軽く息をつくアキラ。
そして意を決したように布団の中に横になり、眠りにつく。
一度薄れた意識がはっきりするにつれて、アキラは自分が全裸にされてベッドの上に
足を大きく開かれて縛り付けられている事に気付いた。
「気分はどうだね、アキラくん。」
そばで男の声がする。ぼんやりと輪郭は感じるが、それ以上の詳しい人相はわからなかった。
ただ自分と比べて、というか、自分の体が男にとって人形並みに小さいという事は分かった。



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