少年王アキラ 36


(36)
「倉田殿、アキラ王は御年15…よもや少年王と呼ばれる所以をお忘れではあるまいな?」
アキラ王の不快を見て取ったオガタンが、倉田を牽制しながら二人の間に割って入る。
「あ、そうだっけ?なら、オレが先輩としてサイン書いてやるよ。オレのサインなら
 ご利益間違いなし!きっとツキまくるぞー!」
どこから取り出したのか色紙とサインペンを手に、胸を張る倉田。
が、唐突に小さな機械音が鳴り響いた。倉田が慌てて自分の腕時計を見る。一見普通の
腕時計のそれは、実は日本棋院特製・腕時計型通信機なのだ。
「ああぁ、呼び出し入っちゃったよ!抜け出して来たからなぁ。…悪い、サインはまた
 今度な。必ず書いてやるから、今日は自力で頑張れよ!」
そう言うと倉田は意外にも軽やかなフットワークで部屋から駆け出して行ってしまった。
と、同時に第一レース終了の鐘が鳴る。倉田の乱入にすっかりレースを忘れていた面々は
馬場内に設置されたターフビジョンに注目した。
―単勝 3番―
オガタンが購入した馬券だ。自動的にアキラ王の一点買いの馬連は無くなる。
「クッ…あいつのせいでアヤがついた!」
アキラ王が悔しげに唇をかみ締め、手にした馬券を豪快に破り捨てた。



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