光彩 36 - 39
(36)
アキラの与える快感にヒカルは翻弄された。
アキラの側にいる・・・それだけでも嬉しいのに・・・。こんな・・・
頭の中が真っ白で何も考えられない。
アキラの指や舌がヒカルの思考を奪っていく。
「きゃう!!」
ヒカルは妙な声を上げてしまった。
アキラがヒカルのものを口に含んだのだ。
なんてことをするんだろう!汚いじゃないか!
アキラに抗議をしたいと思ったが、体に力が入らない。
全身の感覚がそこに集中している。
頭が変になりそう。やめてくれ!!
「やぁ・・・とうや・・・きもち・・・いぃ」
だが、口から出たのは、全く反対の言葉だった。
恥ずかしい。でも、もう止まらなかった。
アキラの舌に刺激を与えられ、ますます敏感になっていく。
「んん・・・と・・や・・・いい・・・もっと・・・」
アキラが舌先で先端をつついた。
「あぁ──────────!!」
ヒカルは細い悲鳴を上げて、アキラの口の中で果てた。
(37)
ヒカルの体を少し浮かせて、その腰の下に自分の服を丸めて置いた。
それから、アキラは口の中のものを吐き出して、自分の手になすりつけた。
先ほどの余韻と、これから起こることへの不安からだろうか。
ヒカルの胸は荒く上下している。
「とうやぁ・・・」と、ヒカルが泣きそうに訊ねた。
「進藤。ちょっと我慢して。」
アキラはヒカルの片足を持ち上げて肩に乗せた。
「!!」ヒカルが瞬間息を止める。
アキラは指をヒカルの中へ入れた。
周りを刺激しながら、少しずつほぐすように・・・。
「やだ・・・やめてよ・・・塔矢・・・いた・・・いたい」
ヒカルが泣き出す。それでもアキラはやめなかった。
「ごめん。こうしとかないと、もっと辛いから。」
ヒカルに泣かれるのは辛いが、自分ももう限界だ。
早くヒカルを確かめたい。心は逸る。
しかし、ヒカルに痛い思いはさせたくない。
アキラは丹念に中をさすった。
「あん・・・あぁ・・・ふ・・・んん・・・」
中が指の形になれる頃、ヒカルの泣き声に甘いものが混じり始めた。
アキラは指を抜いて、ヒカルのもう片方の足も持ち上げた。
「進藤・・・いいね?」
ヒカルが返事をする前に、アキラはヒカルへ侵入した。
「痛ぁい─────────────!!」
ヒカルが悲鳴を上げ、体を仰け反らせた。
かまわず体を進めた。
目眩がするほどの恍惚感が、アキラの全身を支配した。
(38)
アキラがヒカルの中へ入ってきた時、全身が硬直した。
痛い。痛い。痛い。息ができない。
涙があふれる。
足が胸につくほど折り曲げられた。
アキラがヒカルを揺さぶるたび、ヒカルは小さな悲鳴を上げた。
「あっ・・・い・・・いた・・・と・・・や・・・」
耳元でアキラの息づかいが聞こえる。
「はあはあ」という息に混じって、「進藤・・・好きだ・・・」と
繰り返し、呟いている。
ヒカルは痛みに耐えようとして、アキラの腕に爪を立てて、掻きむしってしまった。
それでも、アキラは「好き」を繰り返し続ける。
アキラの言葉が呪文のように、ヒカルを支配する。
「オ・・・レ・・・も好き・・・と・・・う・・・や・・・」
ヒカルもアキラに応える。
「好き」という言葉だけが部屋の中に響いた。
ヒカルはアキラにしがみついた。
限界が近かった。
「─────────────!!」
歯を食いしばって、ヒカルが仰け反った。
そのヒカルを抱きしめるアキラの腕に力が入る。
「────────!」
アキラがヒカルの中に欲望を解放した。
「塔矢・・・好き・・・」
目を閉じて、ヒカルがアキラの腕の中で小さく呟いた。
(39)
ヒカルは、碁をうっていた。
相手とは、何度もうちあったことがある。
そう何百回も何千回も・・・。
ヒカルが鈴を振る様に笑った。
碁盤の向こうから笑みが返ってきた。
強くなりましたね・・・。
そうだろう?
答えたところで目が覚めた。
アキラと目があった。優しく笑っている。
「ずいぶんいい夢見ていたみたいだね。」
ずっと寝顔を見られていたらしい。
照れくさかった。
「塔矢が手を握ってくれていたからね。」
それだけ言って体ごと横を向いた。
顔を隠したかった。
アキラの視線を背中に感じる。
後ろから抱きしめられた。
体温が気持ちいい。
再び瞼が落ちてきた。
ヒカルは、また碁をうっている。
今度の相手は、アキラだった。
<終>
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