昼下がりの遊戯 36 - 40
(36)
ガッ―――――
と、アキラが、一生懸命、裾を引っ張っているヒカルの手首を掴んだ。
「あ…やだ…」
股間を隠そうとするヒカルの手を、無理矢理、そこから引き剥がす。
上半身はボーイッシュな少女そのままだが、下半身は―――――ひどく倒錯的な光景だ。
アキラの無遠慮な視線を受けて、ヒカルは身を屈めて体を隠そうとした。
だが、体に力が入らない上、アキラが腕を掴んだまま、ヒカルを無理矢理立たせている。
「進藤、興奮してるね?」
アキラがヒカルの耳元で囁いた。声が微かに掠れている。
アキラも興奮しているのが、ヒカルにはわかった。
「女の子の格好して……それなのに…ここをこんなにして……
スコートから見えちゃってるよ…ほら…」
「や…塔矢……!」
アキラの視線をその一点に感じる。体がカァッと燃え立った。
ヒカルの高ぶりは、ただでさえ短いスコートを持ち上げていた。
ヒカルは、恥ずかしさのあまり、すすり泣きを始めた。
「やだよ……恥ずかしいよぉ…塔矢ぁ…」
そんなヒカルを無視して、アキラがヒカルの膝の間に足をいれてきた。
そうして、太股でヒカル自身をゆっくりと擦った。
アキラの太股が触れる度、ヒカルの口から小さく悲鳴を上がる。
「やぁ…やだ…やめてよぉ…」
手で触られるほどの刺激ではない。しかし、何とも言えないむず痒いような感覚が
ヒカルの全身を包んでいく。
吐き出してしまいたいのに、それが出来ない。
じんわりと嬲られ、全身が震えた。腰が砕けて、まともに立っていられない。
「あ…はぁ…あん…と…や…」
アキラは口の端で微かに笑うと、ヒカルの膝の間から、足を引き抜いた。
そのまま崩れ落ちてしまいそうなヒカルの脇を支えて、ベッドの上に座らせる。
そして、小さく喘ぐヒカルの掌に、バナナの形をしたものをそっと乗せた。
「さあ…わかっているね?」
アキラの声が、ヒカルの思考を支配する。
ヒカルは、コクンと小さく頷いて、手の上のそれを見つめた。
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わかっていた。
自分はアキラに逆らえない。アキラを獲るにはその言葉に従わなければ
ならないと。
さっき入れられたゴーヤはまがまがしい形をしていた。
それに比べればこのバナナはまだ優しい。怖れることはないのかもしれ
ない。
ヒカルは手渡されたものをみつめながら、ボンヤリと考えた。
でも、この恰好だけはもうイヤだ。
「なぁ、もうこれ脱いでもいいだろ…」
スコートに手をやりながら、ヒカルはアキラに哀願の目を向けた。
しかし、この願いも許されることはなかった。
「ダメだよ」
アキラからは冷い拒否が返ってきただけだった。優しい悪魔はニッコリ
と微笑んでいった。
「ボクの夢の中のキミはこの恰好だったんだから。さぁ、つづきを見せ
てくれるよね。」
ヒカルの興奮した頬は、恥ずかしさで一層上気した。
ベッドサイドからクリームを取り、バナナの形をしたバイブレーターに
塗ると、ヒカルはまたノソノソとベッドに伏せた。
高く掲げた尻をアキラが見つめている。
そう思うだけでヒカル自身がさらに張り詰めてくるのを感じた。
バナナの形をしたそれをそっと後門に押し当てた。
滑らかな感触がすでに解れている後門を通り抜け、ヒカルの内部を再び
充たした。
「ぅん…、あっ……、はぁ…」
抑えられない興奮の声がヒカルの唇から洩れてきた。
「スイッチはボクが入れてあげるよ。」
やさしげなアキラの声がヒカルの耳に届いた。
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ブン…
と小さな音がして、ヒカルの中のそれが震え始めた。
「ぁふんっ」
小さな嬌声がヒカルの鼻から抜けた。
「これ、何段階か動きにも種類があるんだね、とりあえず、1番弱いのこれだけど、どう?」
アキラがボタンの部分を手にして微笑む。
ヒカルは黙って小さく首を振った。
短いスカートの裾が、ゆらゆらゆれた。
その薄い影が、ほとんど尻に近い太もものあたりに落ちてこれまた揺れる様がなんとも
アキラの心を揺さぶる。
スカートの裾が揺れているのは、ヒカルが腰をモジモジと動かしているからだった。
まるで、太ももを擦りあわせるように、もどかしげに。
「あぁ、なるほどね」
アキラが嬉しそうにつぶやく。
「こんな緩い刺激じゃ足りないんだ?」
図星を指されて、ヒカルが、あらわになっている太ももの色をピンク色にそめた。
「そうだよね。僕の夢の中の君の乱れ方はこんなんじゃなかったし、これでどうかな?」
アキラの手がバイブレーターのスイッチを、もう一つ押し上げた。
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ヒカルは強くなったその刺激に、背中を弓なりに反らせ、眉をよせる。
「淫乱な君の身体には、まだ足りないかな?」
そう言ってアキラはバイブレーターを更にヒカルの身体の奥に押し込める。
「あぁ…ああぁっ!」
アキラの動かすバイブレーターのリズムに合わせて、ヒカルの口からとめどなく漏れるあえぎ声。
「いい声だね…もっと聞かせてよ」
ヒカルの甘い声を更に引き出す道具が、アキラの左手の指先に転がっていた。
アキラは苺のバイブレーターを手に取りスイッチを入れる。
「進藤のココも苺みたいだよね?」
苺のバイブレーターはバナナのそれよりも、小刻みに繊細な動きをするらしく、高い音で振動を繰り返している。
ピンクに色づくヒカルの乳首に小刻みに震える苺をゆっくりと押し当てると、ヒカルのあえぎ声が一段と高く甘い声になった。
新たな快感が相乗効果をもたらしたのだろうか、ヒカルの腰が先ほどよりも尚一層もどかしげに揺れる。
「そんなにおしりを揺らして…もっと欲しいって言ってるみたいだね」
アキラはヒカルの手を取って後ろのバイブレーターに導き、スイッチの場所を教える。
「もう一段階上がるから、欲しかったら自分で強くするんだ」
ヒカルの顔が羞恥で赤くなる。だが羞恥よりも強くヒカルの中で欲望が渦巻いていた。
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ヒカルは震える指をスイッチに延ばした。その指先までが体にこもった熱のために赤く染まっていた。
スイッチを受け取る瞬間、僅かだがアキラの指がヒカルの手に触れた。
アキラの指も熱かった。
(こんなんじゃない、塔矢の生のがいい。これでオレん中を…)
ヒカルは、体を苛む熱にせかされるままにスイッチのレベルを最も高い所に押し上げる。
悲鳴を上げながら、布団に顔を押し付けた。
今まで、名前の通りに中でブルブルと身を震わし、せいぜいその震度が強くなるばかりだった
バナナの形のそれが、突然何かの生き物のようにウネウネと動き出したのだ。
「塔矢…塔矢……塔矢…」
ヒカルが、アキラの名前をかすれた甘い声で呼ぶ。
ヒカルは、中でうごめくそれを、自分の中を責めるアキラの指として想像していたのだ。
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