少年王アキラ 37


(37)
「…オガタン、何故邪魔をした!?」
重苦しい沈黙が支配していたその場に、アキラ王の怒りに満ちた低い声が響いた。
「あんな無礼者など、我が鞭の裁きを受けても当然の輩だろう!?」
憤り輝く瞳で鋭く睨み上げられながらも、オガタンは平然とした表情で眼鏡を押し上げる。
「アキラ王、あの者はあれでも日本棋院のエースパイロット。ここで揉め事を起こせば、
 日本棋院サイドが出てくるのは必至。当然、あなたの愛するレッドも来るでしょう」
「レッドが来るなら尚更、あの者を…!」
眉を顰めて声を荒げるアキラ王にたたみ掛けるように続ける。
「だがレッドは日本棋院に属する者。あの者を庇うレッドの姿をご覧になりたいのですか?」
「そ、それは…」
言葉に詰まり不服そうに横を向くアキラ王。
「元々ここには万馬券をとりに来たはず。他は全てレッドを手中に収めた後になされば
 よろしいのです。今はただ、当初の目的通り万馬券を得て、レッドに紅白碁石をプレ
 ゼントすれば良いだけのこと。…アキラ王、色恋に焦りは禁物です。まずは外堀から
 埋めていきなさい」
諭すように言うオガタンを見上げ、少年王は剣呑さを含んだ表情を緩めた。
「そうだな。あの者の仕置きはレッドを得てからにしよう!その為にはまずは万馬券だ!
 今回は倉田のせいでスベったが、次は負けないぞ」
すっかり機嫌を直し、気合を入れて競馬新聞に目を落とす。
そんなアキラ王の露わになった白い項をオガタンがじっと見つめていた。
――いける…ツキはこちらに来ている。今度こそ、オレがアキラ王の菊門をいただく!
どちらに転んでもいいように手を打ってあるが、最終的な邪魔が入らないことを強く願う
オガタンだった。



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