Shangri-La第2章 37
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「ん………」
まだ髭の生えていないヒカルの頬は柔らかく
弾力があり滑らかで、その感触がアキラを幸せにした。
暫く二人で頬擦りしあってから、アキラはヒカルの頬に口付けた。
頬骨から目元へ、こめかみからフェイスラインをなぞって顎先へ、
さらに顔の反対側へ――ヒカルの華奢な骨格を唇で確かめる。
鼻先へ、ちゅっと音を立てた軽いキスの後、
アキラの動きがふっと止まった。
目を閉じて身を任せていたヒカルが、その静寂に耐えられず
そっと瞼を少しだけあけると、アキラの顔は
鼻先でキスしたままの場所に留まったままだった。
ヒカルはアキラの頭に手を添え、軽くこちらに押しやると
その唇に、ぱくりと食いついた。
アキラの唇は、柔らかくヒカルを迎えた。
少し離れてはまた、どちらからともなく求めて
お互いに何度も小鳥のように唇をついばみあった。
「塔矢……、する?」
何度目かに唇が離れた時、ヒカルが囁いた。
どれだけしても深くならないキスも、
抱きつきはしてもそれ以上求めない手も、
アキラが今、これ以上を望まないと言っているのだとは思うが―――
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