失着点・展界編 38


(38)
その時ふと和谷が立ち止まり、伊角の方を振り返った。
「ごめん、伊角さん…。ちょっと、進藤と二人で話ししてきていいかな…。」
ヒカルがギクリとして助けを求めるような視線を伊角に送り、伊角も慌てた。
「和谷!約束したはずだぞ、おかしな行動はしないって…!」
「…話をするだけだってば…。」
和谷はすがるような目でヒカルを見る。何か決意をしている様子だった。
和谷を恐れる一方で、今度の対局は打たせたいという気持ちもある。
相手がアキラだとかは関係なく、そうしなければ本当に和谷が囲碁界から
去ってしまうような気がした。
「いいよ、和谷。…少しだけなら。伊角さん、…悪いけど待ってて。」
伊角をその場に残し、2人で道路を渡った人気のない公園に向かった。
「進藤…この前は…ごめん…。謝って済むものじゃないし、許してもらおう
とも思っていない。一生恨んでくれていい。」
ヒカルの前を歩きながら和谷は話し出した。
「…いいよ、もう。伊角さんにも言われた。…忘れるよ。オレ。」
「だけど、オレは、塔矢にお前を渡すつもりはない。」
ヒカルの足が止まる。和谷も立ち止まり、振り返った。
「分かってる。そんな事オレが言う資格なんてないって。だけどオレは…
あいつにお前を渡すのだけは絶対に嫌だ。オレはいつか必ずあいつを倒す。
そしてお前を奪ってやる。それだけ言っておきたかったんだ。」
「和谷…!」
ヒカルは軽い目眩がして目を閉じた。和谷を囲碁界に結び付けておく要素が
皮肉にも自分の事でアキラに対する嫉妬心になるのだ。
その一瞬の隙をつかれるように、ヒカルは和谷に肩を掴まれ引き寄せられて、
唇を捕らえられた。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル