初めての体験+Aside 38 - 39


(38)
 結局社は、その夜一睡も出来なかった。コレで、二日間眠っていないことになる。頭が
ボーっとして働かない。冷たい水で顔を洗い何とか目を覚まそうとした。
「おはよ。社。」
ヒカルが挨拶をした。爽やかな笑顔。眩しいくらいだ。
「お…はよ。」
見とれてしまった。どうして、ヒカルはいつもこんなに可愛いのだろう。眠気も一瞬で
吹っ飛ぶ。
「…あれ?社…目が赤い…」
ヒカルがジッと見つめる。まずい。バレる。
「ああ、今、目にゴミが入ってしもて…」
と、わざとらしく擦った。
「あ、擦るなよ。オレが見てやるから…」
ヒカルが社の手を押さえて、顔を覗き込む。
「ん〜〜よく、見えねえ…社、かがんでよ。」
社は、ヒカルの前に膝をついた。ヒカルは、社の頬に手を添えて、真上から目の中を覗いた。
ヒカルの大きな目がほんの数センチ先にあった。吐息が社の唇にかかる。
『わわわ…!やっぱ、進藤、睫毛が長い…』
「んん?わかんねえや…」
社は、ジッとしていた。今さら、ウソだとは言えない。だが、そろそろ目が乾いてきた。
痛い。でも、我慢だ。
 「!?」
不意にヒカルに目を舐められた。社は驚いて声も出ない。あまりのことに固まってしまった。
そこを今度はチュッとキスをされた。
「えへへ。ゴメン。だって…社、可愛いんだもん…きっと、今のでゴミもとれたよ。」
悪戯っぽく笑って、ヒカルは洗面所を出た。が、すぐに戻ってきて
「朝飯もう出来てるから、早く来いよ」
と、一言付け足してドアの向こうに消えた。
―――――進藤…!可愛いのはあんたや!!なんで、そないに可愛(かい)らしいんや…
一生、ヒカルについていく。どんな目にあわされても絶対諦めない。あらためて決心した。


(39)
 特に問題もなく午前が過ぎようとしていた。ヒカルはいつもの通り、明るく元気で、
アキラも社に何かをするということもなかった。だけど、社はそろそろ限界だった。頭の
中は、眠りたいという気持ちだけでいっぱいだった。ヒカルに昨日本当は起きていたことを
知られないように振る舞い続けたが、時間が経つにつれ疲労は濃くなっていった。
 『アカン…死ぬかも…』
必死に欠伸を噛み殺そうとしている社の側に、アキラが近づいてきた。
「眠そうだね?」
そう言った後で、さらに小さく囁く。
「進藤に知られたら……」
背筋に悪寒が走った。わかっている。アキラも怖いが、何よりヒカルが傷つくようなことは
したくない。何が何でも耐えてみせる。就寝時間まで、あと十二時間足らず。がんばろう。
 気合いを入れたところで、ヒカルと目があった。ニコッと笑いかけられて、身体中の
血液が沸騰した。力が漲るようだ。やっぱり、ヒカルは太陽だ。



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