初めての体験 Asid 39 - 40
(39)
ボクは、進藤を寝室へ連れていった。そして、望むとおり彼を優しく扱う。
「あ…ん…塔矢…」
進藤がボクに、キスを強請った。さっきはあれほど抵抗したのに…。やはり、未熟な
ボクがあんな真似をするのは、早すぎたのだ。真の達人なら、あれを暴力とは感じさせなかった
はずだ。
いつまでたってもキスをしようとしないボクに焦れて、進藤が自分から唇を押しつけてきた。
甘い吐息に頭が痺れた。侵入してきた小さな舌を、思い切り吸い上げた。進藤の身体が、
微かに震えた。
優しく胸を愛撫すると、進藤は「…っ、あぁん…」と、可愛い声で喘いだ。可愛い。
本当に可愛い。こんなに可愛いと思っているのに、頭の中は老人に陵辱される進藤のことで
いっぱいだった。さっき泣かれたばかりなのに、ボクはまったく懲りていない。
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「あ!うぅ…あぁ――――――!」
進藤は、胸につくほど、足を折り曲げて、ボクを限界まで受け入れた。その表情は、苦しげだった。額に張り付いた髪を払ってやる。
「大丈夫?」
と、訊くと、彼は無理に微笑んで頷いた。いじらしくて涙が出そうだ。
ゆっくり身体を揺する。
「は…あ…んん…」
感じているのか、苦しげだった表情に陶酔の色があらわれ始めた。
「気持ちイイ?」
ボクの言葉に、進藤は、恥ずかしそうに顔を逸らせた。
「あっ!」
ボクが深く突き上げると、進藤の身体が痙攣するようにビクビクと震えた。
「あ、あ、あ…あぁん、イイ…」
抽挿を早くする。進藤の身体が何度も跳ねた。
「あああ――――――!!」
進藤がボクを強く締め付けた。ボクは、彼の中に欲望の飛沫を迸らせた。
ボクの胸に頭を凭れさせている進藤の可愛い寝顔を眺めながら、ボクは反省した。今日は、
些か早急すぎた。本因坊の話を聞いて以来、体の中がモヤモヤしていたって言うのもあるが、
進藤の顔を見たら急に堪らなくなってしまった。まだ、ロクな経験も積んでいないのに…。
それに、結局、ボクは進藤には勝てないのだ。可愛く甘えられたり、泣かれたりしたら、
ボクは折れるしかない。それに、耐えることのできる鋼鉄の意志を持たなければ、ボクの
夢は叶わないのだ。
進藤の髪を梳いてやると、くすぐったそうに身じろいだ。ボクは、進藤を抱き寄せると、
下克上の日が早く来ることを願いつつ眠りについた。
おわり
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