初詣妄想 4
(4)
「アキラたん、すっごく似合うよ。サイズもぴったりだね」
素敵だよ、とは、思ったけれど、恥ずかしすぎて口には出来なかった。
ジーンズは、以前アキラたんがふざけて俺のズボンを履いたときの感じから
サイズを推測してみた。ちらっと見ただけだから何とも言えないけど、ちょっと緩め?
でも十分いける。うまく着られなかったというのは、きっとあのニットのことだろうな。
シャツはプレゼントしてないけど…これはアキラたんが自ら組み合わせたのだろう。
だけど、シャツがなかったら、鎖骨辺りや二の腕とか、肌の露出が眩しすぎて
そんなアキラたんを前に普通に食事なんて出来そうにないし、
なにより、アキラたんの玉の肌を衆目に晒すなんて、とんでもない。
だからこんな感じでいいと思う。
「うん、ありがとう。でもこれ本当に着るのが難しくて…」
うまく着られなくてお母さんに手伝ってもらったら、
「こんな服いつ買ったの?どうして買ったの?」とか随分質問攻めにされて、
答えに困っちゃった、とアキラたんは笑っている。
確かに、トレーナーとタンクトップが絡みついてくっついたような
妙ちくりんな作りのあのニットには、アキラたんのお母さんもさぞ戸惑ったことだろう。
店で見たときも、ちょっとは複雑かなとは思ったけど、今こうしてアキラたんが
実際に身に付けた姿を見ていると、予想より遥かに難しい作りだったかもしれない。
|