嘆きの少年王 4
(4)
「…フッ」
暗い笑みを浮かべて、オガタンがアキラ王を見た。その目が暗く光っていた。
「王よ、2週間や3週間の放置プレイが何だというのです。」
低い、感情の無いオガタンの声に、アキラ王としたものが、思わずびくりと震えた。
その時、自分が地雷を踏んでしまった事にアキラ王は気付いた。
「王よ、逐一数え上げるあなたならご存知のはずですな。」
オガタンからアキラ王は目をそらした。
「あれは…もう随分と遠い昔の事のように思えます。
そう、それは私が棋聖の座を手にしたときの事。
あの時、あなたはあの場にはおいでではなかったのですよね。」
そう、あの時あの場にいたのは、あの忌々しいクソジジイ…
クールに貫禄たっぷりにキメてあのジジイをやり過ごす事ができたと、
あの時は爽快な気分だった。だがそれが最後の時になろうとは…。
『上座に座ってお待ちしますよ。』
あれが最後の台詞になろうとは。
このオレが。
オガタンの目がギラッと燃え上がった。
誰よりも放置プレイなどという単語の似合わないこのオレに。
許せん。オレを誰だと思っている。緒方精二十段・棋聖様に向かって、放置プレイなど…!
そんなものは執事に任せておけばいいんだ!!
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