pocket-sized Xmas 4
(4)
「――まだ妄想の中のボクを探してるんですか?そんなに妄想と現実の区別が
つかなくなるくらい、ボクを好きでいてくれるなんて嬉しいです」
「アキラたん・・・」
アキラたんは白い指を伸ばして俺の頬をそっと撫でた。
それで初めて、自分の顔が涙でぐちゃぐちゃになってることに気がついた。
「あなたにこんなに好かれてるなんて、妄想の中のボクがちょっと羨ましいな。
でも今日からは、このボク一人を見てください」
「あ、アキラたん」
「あなたを泣かせるような妄想なんて、ボクが忘れさせてあげます・・・」
そう言うとアキラたんは身に纏っていた毛布をはらりと落とし、
俺の首にゆっくりと手を回した。
「ア・・・アキラたんっ。ちょっと待った!たんま!たんまっ!」
焦ってもがいて逃れようとする俺に足払いを食わせてあっさりと布団の上に引き倒し、
目の縁をほんのり赤く染めて恥ずかしそうに息を乱しながらアキラたんは囁いた。
「大丈夫です、・・・ボクに任せて・・・?」
語尾を上げてかすれさせながら、ね?というようにちょっと首を傾げてみせる。
慰めるようにあやすように、誘惑するように。
それだけでもう俺の理性は飛びそうになる。
顔にかかる甘い吐息。
ちゃんとした重みのある温かな体。
俺だけを見て輝いてる潤んだネコ目。
ああだけどあの子がいないなら、
俺の心臓はあの子のあんなにも小さかった温もりを思い続けて、
一生癒えることはないんだ。
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