アキラとヒカル−湯煙旅情編− 4
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「色の深い所とか流れが溜まってるな所に投げるといいんだって。」
最初は乗り気でなかったヒカルだが、やってみると楽しかった、何でも楽しいのかもしれない、アキラと一緒なら。
囲碁以外のことを二人でしているのはとても新鮮だった。囲碁をしていない時のアキラには案外のんびり屋で天然な部分があることも発見した。
ヒカルには何度かあたりがあり、一度逃がしたが、3匹の収穫があった。
「コレ、岩魚かな?」
「さあ?塩焼きにしたら美味そうだな。」
上機嫌で釣り糸を投げる。いつの間にか日が翳っている、結構時間経ってるんだ・・・夕食の前に塔矢と風呂入りたかったんだけどな・・・今からじゃ無理か?そんなことを考えているとまた、あたりを感じた
・・・と思ったら、誰かの釣り糸にヒカルが絡めてしまったらしい。
あわてて絡みを解こうと、竿を回したり引き上げたりしてみるが、絡みは一向に解けない。
程なく絡まれた釣り糸に釣られた人物が現れた。
「おい、オレ釣ってどうするよ、進藤。」
逆光で顔は良く見えなかったがヒカルには声の主がすぐに判った。
「加賀ぁ?」
ヒカルが釣ったのは加賀鉄男だった、その後ろから筒井の笑顔も見えた。
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