雪の日の幻想 4
(4)
指を呑み込んだ彼の内部は熱く絡み付きながら、更なる刺激を求めるように収縮している。涙を零し
ながらいやいやするように頭を振る彼の頬は赤く紅潮し、常であれば厳しく引き締められている美し
い唇はもはや閉じる事ができず、泣き声にも似た喘ぎを絶えず漏らしている。そんな彼の痴態が、
後孔を弄る粘液質な音が、緒方を揺さぶり追い詰めていく。もはや、こちらの方も限界が近い。指を
引き抜き、ヒクヒクと震えるそこに張り詰めた自分自身をあてがうと、彼の身体が一瞬、怯えたよう
に震えた。
…アキラ…
宥めるように耳元で彼の名を囁きながらそのままぐっと押し進めると、彼はまるで初めて受け入れ
た時のようにぎゅっと目を瞑り、肩を強く握り締めてきた。そんなに強張らないで、そう伝えようと、唇
にそっと触れ、それからきつく閉じられた眦から滲んだ涙をそっと舐め取る。
…アキラ…
もう一度、できるだけ優しく、耳元で名前を呼ぶと、彼は弱々しく目を開け、不安に濡れた瞳で見上
げてくる。
…がた…さ…ん…
震える唇が己の名を呼ぶように動く。宥めるようにそこに唇を重ね、更に腰を進める。
あ、あぁあっー…
けれど悲鳴はそのまま口内に封じ込められる。弓なりに反った背を抱きながら、アキラの中で緒方
が動き始める。
雪のようにひんやりとしていた身体は今、自分の腕の中で、燃えるように熱い。声を出すまいと噛み
締められていた唇は、もはやそれを抑えようという意思さえ保てずに、体を揺する律動にあわせて、
甘い泣き声を聞かせる。強く突き上げると、その声が一際高くなり、それが更に緒方を煽り、緒方は
いっそう猛々しく彼の内部に欲望を打ち付けていった。
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