悪代官−真夏の企み 4
(4)
「進藤、汗掻いてるね?…シャワー浴びなよ」
「え?」
「まだまだお祭りまで時間あるし、ね?」
「え、でも…」
「いいから、ほら」
半ば強引に進藤を風呂場に押しやり、シャワーを浴びさせる。そして風呂場のドア越しに進藤に呼び掛け、着替えの浴衣は棚の中だよと告げた。
「よし…これでいい」
実は計画と言ってもこれだけだ。ボクは一人拳にガッツを作り、自らも紺の浴衣に袖を通す。
鏡に映る自分の姿は格好良く、我ながら浴衣がよく似合うヤシだなと思った。普段は服装には無頓着だが、やはりボクは相当見た目が格好良いのだ。そんな格好良いボクの隣に並ぶのは、キュートで美人な進藤ヒカル…。
きっとすれ違う誰もが羨む事間違いナシだ。ああ…早く進藤上がらないかな…楽しみだ!
「…塔矢ー?おーい…」
あっ!進藤の声!よしよし上がったんだな?フフフ、これを待っていたんだ!ボクはダッシュで風呂場の前に急いだ。
「なんだい進藤!」
「あ、塔矢?…あのさあ、お前間違えて女用の浴衣置いてたんだけど」
本当に素直だな…。どう考えても間違える馬鹿いないだろ。故意にやらない限りね。
「ああゴメン、なんか浴衣あると思ってたんだけど、無かったから」
「は?どゆ事?」
「進藤、それ着てくれる?悪いけど…」
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