平安幻想異聞録-異聞- 4
(4)
「座間、てめぇ!こんなことしてタダですむと思うなよ!」
「いやはや、顕忠。今宵の宴の肴は元気がよいのう」
「まことに、座間様…。でも、これぐらいの生きのよさなければ
喰らいがいもありません」
「どれどれ、普段は佐為殿が独り占めしているこの珍味を、
ひとつ賞味させていただくこととするか」
「どうぞ、ごゆるりと」
座間はその言葉に、ヒカルの足の間に立つと、じっくりと星明かりに照らし出された、まだ
幼さの残る肢体を眺めおろした。そのなめるような視線にヒカルは背筋が泡立つような
気味の悪さを覚え、思わずさけんだ。
「見、見世物じゃねぇぞっ!」
「なに、見るものじゃない?それでは、触るものかな?」
喉の奥で笑いながら座間がヒカルの上にのしかかる。
自分の腰から胸へとじっとりと撫で上げる座間の手の感触に、ヒカルは
自分が置かれた本当の状況にようやく気づいた。
殺されると思っていたのだ。佐為への仕返しに。よってたかって殴られるか切られるかして、
なぶり殺されるのだと思っていた。だが、自分が思っていたのと、その「なぶる」の意味合いが
少々違うことに、ヒカルはようやく気づいた。
「や、やめろよ…」
「肴が何か、わめいておるのう」
「いやだ…」
腰から胸を撫で上げた座間の大きな手のひらは、今度は肩から背中に廻り、
背筋をゆっくりと臀部に向かって撫で下ろしていく。
振り払おうにも手足は動かせず、必死で体をよじったが、座間の大きな体にのし掛から
れた状態では、それもたかがしれていた。
竹やぶに引きずりこまれたときから、覚悟はしていた。どうせ殺されるなら近衛の家の名に
恥じない死に方をしよう。命乞いなどするものかと。だが、この状況は……。
座間の骨張った手が、後ろから臀部を割って入り込んでくる。
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