七彩 4


(4)
ちょうど街灯の点った電柱まで差し掛かった時、アキラがふいに足を止めた。
つられてヒカルも俯いたまま立ち止まる。ヒカルはこれから来るだろう最後通牒に
心を鎧い、覚悟を決めた。しかし恐ろしくて、アキラの顔は見られなかった。
「――――いいよ。付き合おう」
ヒカルは目を閉じ、痛い拒絶に対して「そうだよな、ごめんな」と再び謝ろうと
思った。そしてこんな馬鹿げた告白は無かった事にして、これからも気兼ねなく
碁を打って欲しいと願い出るべく口を開いた。
だが実際に発した声は、本人の意に反して気が抜けた間抜けなものだった。
「・・・・・・・・・は?」
「付き合おうと言ったんだ」
「え・・・・・・?」
「その代わり、ボクが打ちたいと誘った時は、何より優先してボクと打って
欲しい。ボクもそう無理を言うつもりは無いが・・・」
「――――もちろん!ああ、ああ、いいぜっ、もちろんそうする、絶対!
そんなんでいいのか!?そんでオレと付合ってくれるの!?ほんと?
嘘じゃない!?――――――ウソ―――――――マジ!?」
「ああ」
アキラは飛び上がって喜ぶヒカルを冷静な目で見詰めている。
ヒカルは―――――――嬉しかった。プロ試験に通った時よりも、ずっと。
今や一度死んだ夕日は蘇り、甍の波の隙間から光の名残りをヒカルの目に神々しく
映していた。



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