弄ばれたい御衣黄桜下の翻弄覗き夜話 4
(4)
女の足が、声のリズムとともに揺れている。
植え込みの細かな枝の間、わずかにのぞく男の腰。その律動。
毛深い腕が動いて、女の足の裏を愛撫しているのがわかった。
張りつめて、キツイと訴え始めた自らの股間に、門脇は心の中で笑う。
(やべぇ、やべぇ。こりゃ、本格的にならないうちに帰らないとな)
最近は碁を打つばかりで、女の腰を穿つのは御無沙汰だったせいか、うっかり
盛り上がってしまってきた。その自分の生理をきまり悪く思いながら 、
隣りの進藤ヒカルを盗み見る。
自分がこの調子なのだ。おそらく、まだ女性経験など殆どないであろうこの少年は、
どうなっているのやら。
ヒカルの、その鼻先の輪郭だけが綺麗に外灯に浮かび上がっている。
単純な興味から、門脇は傍の細い体に手を伸ばした。
だがその手を伸ばす途中、その好奇心は、子供じみた悪ふざけにすり替わっていた。
夜の墓場でとなりの友達の肩をわざと叩いて逃げたり、女子高生が、友人の後ろ
から忍び寄って背中を撫で上げて遊ぶ、あれみたいな感覚だ。
公園で他人のセックスをのぞき見て、興奮してしまっている自分たちに対する、
照れ隠しの意味もあったのかもしれない。
門脇は、少年のジーンズの内股に、気付かれないように手をそっと忍ばせ、そこを
植え込みの向こうの男を真似て撫で回した。
声にならない飲み込むような鋭い息とともに、門脇の手を熱いヒカルの両腿ががっちりと
挟んだ。
「な、なにするんだよ、門脇さん!」
ヒカルが小声で抗議する。
「冗談だよ、冗談!」
言いながらも、布越しにも感じられるヒカルの肌の火照りに、門脇自身がギョッと
していた。隣りの少年の存在がずっと生々しいものに変わった気がした。
笑って済ませて、そのまま手を引き抜こうかと思ったが、その熱さは夜風に冷えた
手に心地よく、そのまま解放されてしまうのは名残惜しく、気付けば門脇は挟まれた
手を、さらに腿の奥へと進入させた。
「ひぅっっ……」
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