初めての体験+Aside 4


(4)
 言葉を失った社に、ヒカルは嫣然と微笑んだ。薄暗い外灯の下、その笑みはいつもの
ヒカルとは別人のように見えた。と、言っても社はそれほどヒカルのことを知っているわけではないのだが…。実際、会った回数はほんの三、四回だ。
「社、可愛いね…」
やっぱりウソやったんや…アキラの家も初めてじゃないし、迷ってもいないのだ。
「塔矢の家に行く前に、ちょっと二人きりになりたかったんだ。」
ヒカルは、無邪気に笑った。その顔は、社が一目惚れしたあの笑顔だ。
 「社、このまま塔矢の家に行くの辛いだろ?」
ヒカルの手がジーパン越しに、社をさすった。
「し…進藤!?」
 確かに、電車に乗っているときから、自分の分身は痛いくらいヒカルに反応していた。
なるべくあっち方面は考えないようヒカルを見ずに会話をしたりとか、酔っぱらい親父を
見て気分を盛り下げたりした。そんな社の涙ぐましい努力により、漸く、静まりかけていたものが、
ヒカルと夜道で二人きりというシチュエーションに、あの時以上に昂ぶっている。
「社、コレ持ってて」
ヒカルは、社に弁当の紙袋を手渡して、抵抗を封じた。もとより、社にヒカルに逆らう
術はない。
「ゴメンな。時間がないから、手でガマンしてくれよ?」
 ヒカルの繊細な指が、ファスナーを下ろしていく。その音がやけに大きく聞こえて、
もし、今、ここで誰かが来たらどうしようかと思った。



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