月明星稀 4


(4)
「そうだろう?言ってみなければ何も始まらないよ。」
「始まりとは限らない。それが終わりになるかもしれないのに?」
「怖いのか?」
「怖いよ。」
「おまえにも…怖いものがあるなんて。」
ヒカルはおかしそうに小さく笑った。
「大丈夫だよ、怖がるなよ。おまえらしくもない。」
「…勝手な事を、言うな。」
ふっと苦笑いした後に、アキラは顔を上げてヒカルを正面から見た。
自分を見るアキラの眼差しが、いつに無く真剣で、かつ、熱く熱を帯びたものであるように感じて、
ヒカルは意味もなく自分の頬が熱くなるのを感じた。
胸が苦しい。自分の心臓の音がやけに大きく感じる。
「そんな目で……見るな。」
アキラの視線から逃れるようにヒカルは頭を打ち振り、斜めに目を泳がせて、言う。
「そんな目で……俺を見て、どうする。俺じゃ、ないだろう…」
おまえがそうやって見るべき相手は、と。
「…いいや、」
だがはっきりとした返事が返ってきて、ヒカルは顔を上げてアキラを見た。
先程と変わらぬ眼差しでヒカルを見つめたまま、アキラは柔らかな声で言った。
「君だよ。」



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