社妄想(仮) 4


(4)
社が満足げに笑い、ヒカルの唇を解放する。
その端から零れた透明の液体が顎へと流線を描いた。
上目遣いに睨み付けるその目が、更に社を煽っている事にヒカルは気付かない。
上気した頬も、微かに震える薄い肩も、眦に浮かんだ涙も。
全てが全て、今のヒカルを扇情的に彩るものでしかなかった。
「何、する気だ。午後から対局が控えてるって云うのに、随分余裕なんだな」
ヒカルが社を睨み付けたまま問いかけると、社は薄く笑った。
「余裕なのはあんたの方じゃないのか? オレに何されるのかなんて、分かってるくせに」
「なに、を……」
言いかけて、ヒカルが口を噤み、そのままその場所に頽れた。
身体が他人の目から見てもはっきりと解る程に震え、唇からはか細い呼吸が絶え間なく洩れる。
目許はうっすらと色付き、今にも零れ落ちそうな涙が目尻に光っていた。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル