初めての体験 40
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ヒカルは地方のイベントに来ていた。今回、棋院から派遣された仕事はそこで指導碁を
行うことだった。本当は、適当な理由をつけてさぼりたかった。しかし、ヒカルとてプロ
の棋士…我が儘は言えなかった。ヒカルには手合いをさぼり続けた前科もある。これ以上
睨まれるのはゴメンだ。佐為がいれば、この退屈そうな仕事も楽しめただろうに…。
「あーあ…せめて塔矢が一緒だったら…」
溜息をつきながら、席に着いた。もう客達は座って、談笑しながらヒカルを待っていた。
「よろしくお願いします。」
と、顔を上げて驚いた。目の前にいる二人の男性の顔に、見覚えがあったからだ。
「あ…あのお兄さん達…」
ヒカルは言葉を続けることが出来なかった。この二人は知り合いだったのか…。
あの後、桑原とは何もなかったのだろうか…?桑原の性癖をヒカルは身をもって知っている。
無事ですむとは思えない。しかし、いくら桑原でも、一般人に手をだすだろうか…?
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