少年王アキラ 41


(41)
いきなり処刑命令を受けた座間は、驚きのあまり即答する事が出来なかった。
今まで少年王への冒涜で公開処刑に処せられた者たちは数多く存在するが、王の側近が
処刑されたことなど一度も無かったのだ。せいぜいがきついお仕置き程度で済まされる。
それはアキラ王なりの、前王から仕えてくれている彼らへ敬意の表し方だった。
でなければ、座間などはとっくにこの世に存在していないだろう。
しかし今、アキラ王ははっきりと処刑を口にした…王の命令は絶対だ。
が、座間の脳裏には以前オガタンに施された秘薬の思い出が走馬灯のように浮かんでは消える。
――オガタンが処刑されたら、あの快楽を2度と味わえぬやもしれん…!
「お、恐れながら、王よ。オガタンは前王の覚えめでたい秘薬使いです。いきなりの
 処刑命令などいささか浅慮が過ぎませぬか?」
…可憐な執事・座間、自分の欲望にどこまでも正直な男だった。
だが怒れるアキラ王の前に、そんな説得が通じるはずもない。途端に叱責が飛ぶ。
「ボクの命令が浅慮だと!?だいたい、お前に意見など求めてなどいない!
 …後で鞭打ち1000回だ!」
冷たく言い放つアキラ王の視線を受け、座間の身体を甘い痺れが駆け抜ける。
座間の中でオガタンの秘薬から鞭打ち1000回へと天秤が傾いた。
既に心はアキラ王に鞭打たれる妄想へと片足を突っ込み始める座間だった。
アキラ王は座間が恍惚とした表情を浮かべ始めたのを見ると、再びオガタンへと視線を戻した。
「さあオガタン、公開処刑は何がいい?…銃殺刑はこの前やったし、絞首刑は派手さに
 欠ける。電気椅子は臭いが酷い。…そうだ、懐古的にギロチンとかはどうだろう?」
口元に微笑を浮かべ、いたぶる様にオガタンの頬を鞭の先端で軽く叩きながら言う。
意外なところから出された助け舟に藁にも縋る気持ちだったオガタンだが、
敢えなく撃沈するのを見てさらに背中を流れる汗が増す。
その時入り口の扉が大きく開け放たれた。
「ちょっと待ってぇ〜〜〜!!!」
そこには506としっかりと手を繋いだ茂人の姿があった。



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