トーヤアキラの一日 41
(41)
喉の奥に放出されたその液のためにむせて、アキラは一瞬胃の中の物が逆流しそうに
なったが、それを何とか押し戻し、ヒカルから断続的に放出される精を、喉を鳴らして
飲み込んだ。
連続して与えられた刺激に、ヒカルは完全に虚脱状態だった。
体の力が抜け切っており、汗ばんだ身体の周りは熱気が揺らめいていた。
暫く大きく肩を上下させて呼吸を整えていたが、立て続けの放出の余韻から徐々に
醒めると、やっと思い出したようにアキラの頭を軽く撫でながら話しかける。
「トーヤぁ・・・・・・、トーヤぁ?」
「・・・・・・・・」
「トーヤぁ、なぁ、トーヤ?」
そう言いながら、自分の股間に顔を埋めているアキラの頭を揺すった。
だが、アキラはヒカルの分身を咥え込んだまま、全く動く気配が無い。ヒカルは心配に
なって何度も声をかけるが、聞こえてくるのは荒い息遣いだけだった。
「トーヤ?どうしたんだよ?トーヤ、大丈夫か?」
ヒカルは自分の胸に当てられているアキラの熱い左手を握り締めながら、もう一度頭を
揺らしてみるが、アキラは顔を上げようとしなかった。
アキラの頭の中は霞がかかっているようにぼやけており、口の中で小さく脈打って
いるヒカルの分身を感じながら、別世界を漂っている気分だった。
───もっと、もっと、もっと、もっと、もっと・・・・・・・・・
頭の中で呪文のようにこの言葉が反復しているが、それ以上先の言葉が見えて来ない。
ヒカルの自分を呼ぶ声が遠くで聞こえるが、せっかく口の中にある愛しいヒカルを
手放すと、何もかも失うような不安が襲って来て、顔を上げる気にならなかった。
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