Shangri-La第2章 41


(41)
アキラを腕の中に収めて、艶やかなその髪をくるくると
指に絡めたり外したりしながら、ぼんやりと時間を流していく―――
近頃毎日、何らかの仕事を入れているヒカルにとって
それは、とてつもなく贅沢な時間の使い方だった。
母の退院が決まったら、指導碁以外のバイト、特に深夜帯のバイトは
継続できないだろう。だからそれは全部やめるつもりで
限られた日限の中で、できるだけ早く、沢山、稼ぎたくて頑張ってきた。

そして、もうじき、その日が来る。

なのに貯金は目標を大きく下回り――外で過ごす時間が増えたせいか
小遣いの減りが異様に早く、当初の計画は大幅に後ろにずれ込んで
しまったため、正直、まだまだバイトはやめられそうにない。



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