初めての体験 Asid 41
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四ヶ月ぶりに進藤に会った。北斗杯の代表選抜の日だ。ボクの進藤は、予想通り代表の座を
勝ち取った。これで、誰にも文句は言わせない。この四ヶ月間は、長かった。
そのまま、お持ち帰りをしようと思っていたのに、進藤は用事があるとかであっさり
ボクの誘いを断った。
「後で、行くから…」
そう言い残して、去っていった進藤が、ボクの家にやって来たのは夜中の十二時を
まわってからだった。
「ゴメンね。塔矢。オレ、ちょっとしんどいんだ…だから、今日は……」
そう言う進藤の身体から、微かに香る石鹸の匂いが彼の家で使われているものとは違うように
感じたのは、ボクの気のせいだと思いたい。それに、そもそも『しんどい』って、どこの言葉?
正面切って、問いつめられないボクは、弱虫だ。だけど、進藤の無邪気な笑顔やキラキラ
している大きな瞳に見つめられて、そんなことを訊けるヤツがこの世に存在するとは思えない。
まあいい。こうして、進藤を抱きしめて眠れるだけでも良しとしよう。しかし、こんなに
側に進藤がいるのに、何も出来ないなんて…地獄だ。し・か・も、四ヶ月ぶり(ここ重要)
の進藤の温もり…。長い睫毛や、可愛い寝息がボクの理性にケンカを売っているようだ。
そんなこんなで、その夜ボクは良く眠れなかった。
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