無題 第2部 42
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あの人と二人でいる時には、一人の部屋に帰りたいと思い、けれどここで一人でいると
たまらなく寂しく感じてしまう事がある。
だけどその寂寥感をどうやって埋めたら良いのか、ボクにはわからない。
ボクを抱きしめるあの人の体温でも、ボクを貫く熱い固まりでも、優しくボクの名を呼ぶ
その声でも、埋め切れない何かがある。
「一人は寂しいよな」
そう呟いた進藤の辛そうな表情を、そんな時にボクは思い出す。
それから、「もう打たない」「ゴメン」そう言った時のキミの顔を。
あの頃、キミには一体何があったんだ?
キミは何も言わないし、今では何もなかったように、明るく元気なキミに戻っている。
だからボクはキミになにがあったのかは知らない。
だけど、一瞬キミが見せたあの表情、そして一度だけボクが訪ねていった時の、
あの時のキミを忘れられない。
今までの情熱を捨て去ってしまうほどの、どんな辛い出来事がキミにあったんだ?
ねえ、進藤。キミは知ってるんだろう?一人の辛さを。寂しさを。
そしてキミは一体どうやって、それを乗り越えたんだ?どうか、ボクに教えてくれ。
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