落日 42
(42)
どさり、と重たい身体がヒカルの上に倒れこんできて、ヒカルは呻き声を上げる。
「貴…様、こんな事をしてただで済むと……」
呻き声と共に切れ切れに呪詛の言葉が漏れるのが聞こえる。が、そのような言葉など耳にもい
れず、他の男共を切り倒した血まみれの手がヒカルの髪を掴み、男の身体の下からヒカルを引
きずり出そうとしている。既に朦朧とした意識のヒカルは悲鳴さえ上げられずに、男の手に従うし
かない。
更に彼はヒカルに覆い被さる男を足蹴にして倒し、ヒカルの身体を引き寄せ仰向けにかえすと、
下肢を割り開き、既に怒張しきった己自身をヒカルに勢いよく押し込んだ。
嗄れきったヒカルの喉からまた、掠れた悲鳴が上がり、背が弓なりに反る。が、既に何度も男達
の精を受け入れたヒカルの内部は、強引なその動きを難なく受け入れた。
男は目を閉じ小さく身体を震わせて極上の感覚を味わう。そして、熱く蠢きながら己を締め付け
るその感覚に小さな呻き声を上げた後、男は狂ったように腰を動かし始めた。
もはや意識も切れ切れに、ただ己の内部から与えられる感覚だけがヒカルを支配する。それは
もはや快感を通り越し、苦痛にも近いものであったが、ヒカルの肉体はその感覚から逃げ出す
事はできなかった。
せめて気を失ってしまいたい。意識だけでもここから逃げ出してしまいたい。そんな思いに気が
遠くなりかけていた、その時、恐ろしい悲鳴と共に突如男の動きが止まり、ヒカルの腰を掴んで
いた手に恐ろしいほどの力がこめられた。骨を砕くようなその痛みにヒカルは一瞬、己を取り戻
す。次の瞬間、男の身体はくず折れ、どさりと音をたててヒカルの上に落下した。
どろりと生暖かい液体が、ヒカルを更に汚すように伝い落ちるのを感じながら、ヒカルはようやく
意識を手放した。
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