初めての体験 Asid 42


(42)
 翌日、進藤がどうしてもと言うので、越智と社の対局を見に行った。ボクとしては、
進藤の代表入りさえ決まれば、後のメンバーはどうでも良かったのだが…。
 進藤は、社とか言うヤツをよほど気に入ったらしい。手放しで誉める。確かに昨日の
対局はすごかった。それは、認める。だが、ボクの目の前でそんなに誉めることはないだろう?
 ムカついたので、やけくそで越智を誉めた。ボクの気持ちに気づいていないのか、進藤は、
さらに社を誉める。ちっ!越智ごときじゃ力不足だな。誉めるところがもうない…。
 結局、代表は社に決まった。どうでもいいと思っていたが、コイツが代表となると話は
別だ。あ、しかもコイツ、何気に進藤とペアルック気取ってないか?そこまで、気に
するのはボクのやっかみだろうか?
 代表に決まった社に、進藤がうれしそうに駆け寄った。
「社、おめでとう!」
ニコニコ笑う進藤を見て、社が頬を赤らめた。恥ずかしそうに、目を伏せる。
「進藤!あ、ありがとぉ…」
最初に感じた不安は的中した。コイツは絶対進藤に気がある。



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