金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 42 - 43


(42)
 「と、塔矢!?」
目を丸くしているヒカルの口を自分のそれで塞ぐと、ヒカルの肩を押さえ、そのまま前に倒れた。
 「ン…んん……」
ヒカルが苦しげに呻いた。その瞬間を逃さずに、舌を滑り込ませる。ザラリとした感触が舌先に
あたった。それはアキラが触れた瞬間、ビクンと奥へと引っ込んだ。それがヒカルの舌なのだと感じて、
アキラは積極的に追い掛け、それを絡め取った。
 そうして、ヒカルに情熱的なキスを与えながら、手をセーラー服の中へと侵入させた。
彼の薄い胸や、ぺこんとくぼんだ腹の感触を掌で味わう。ヒカルのすべらかな肌を撫でまわしながら、
上着を徐々に引き上げていった。もう片方の手で、スカートの下に手を這わすと、ヒカルの
身体がビクンと跳ねた。

 アキラはもう夢中になっていた。腕の中のヒカルが身動ぎして逃れようとするのを無視して、
服を剥ぎ取ろうとする。
 その時、後頭部に痛みが走った。ヒカルが平手で頭をはたいたのだ。
「痛!何をするんだ!バカ!」
「バカはオマエだ!」
アキラが怒鳴るとヒカルも負けじと怒鳴り返した。その剣幕にアキラは一瞬怯んだ。さっきまで
恥じらい、躊躇いながらアキラの思いを受け入れていた彼が、突然自分を突き放したのだ。
 ヒカルはアキラを睨み付けた。
「コレ!このセーラー服、借り物なんだぞ!?破れたり、汚したりしたらどうすんだよ!」
そう言って、アキラを押しのけると自分で服を脱ぎ始めた。


(43)
 最初は茫然とヒカルを見ていたが、我に返って「待って、ボクがやる!」と、ヒカルの手首を
掴んだ。せっかくの初めての夜なのだから、自分で全てやりたい。
 ヒカルがじっと視線を合わせてきた。何かとんでもなく恥ずかしいことを言ってしまったようで、
アキラは俯いた。
 ヒカルは黙って上着の脇についているファスナーにかけていた手を離し、バンザイをするように
両手をあげてアキラに向き直った。どこか心細げで、頼りなげな表情。もしかして、さっきの
強気な態度は不安な気持ちの裏返しかもしれない。
 震える手でゆっくりとファスナーを引き上げていくと、ヒカルの白い肌が少しずつ露わになっていく。
アキラの手の動きに合わせて、ヒカルは身体を前に倒した。そのままセーラー服を引っ張ると、
すぽんとヒカルの身体がそこから抜けた。
 上半身裸でペタンと布団に座っているヒカルは、普段以上に幼く見えた。
「バーカ…ジロジロ見るな。」
ヒカルはアキラの視線から身体を隠そうと、後ろを向いた。その背中は白くて、滑らかで
唇を押しつけたい衝動に駆られた。
 「進藤…スカートも…」
上擦った声で促すと、ヒカルは怖ず怖ずと振り返り、膝立ちになった。



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