金魚(仮)(痴漢電車 別バージョン) 43


(43)
 最初は茫然とヒカルを見ていたが、我に返って「待って、ボクがやる!」と、ヒカルの手首を
掴んだ。せっかくの初めての夜なのだから、自分で全てやりたい。
 ヒカルがじっと視線を合わせてきた。何かとんでもなく恥ずかしいことを言ってしまったようで、
アキラは俯いた。
 ヒカルは黙って上着の脇についているファスナーにかけていた手を離し、バンザイをするように
両手をあげてアキラに向き直った。どこか心細げで、頼りなげな表情。もしかして、さっきの
強気な態度は不安な気持ちの裏返しかもしれない。
 震える手でゆっくりとファスナーを引き上げていくと、ヒカルの白い肌が少しずつ露わになっていく。
アキラの手の動きに合わせて、ヒカルは身体を前に倒した。そのままセーラー服を引っ張ると、
すぽんとヒカルの身体がそこから抜けた。
 上半身裸でペタンと布団に座っているヒカルは、普段以上に幼く見えた。
「バーカ…ジロジロ見るな。」
ヒカルはアキラの視線から身体を隠そうと、後ろを向いた。その背中は白くて、滑らかで
唇を押しつけたい衝動に駆られた。
 「進藤…スカートも…」
上擦った声で促すと、ヒカルは怖ず怖ずと振り返り、膝立ちになった。



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