白と黒の宴4 43 - 44


(43)
それまで人形のように天井を見つめていただけだったアキラの表情が一変した。
前触れもなしに投げかけられた問いに驚いたように目を見開き、社を見上げて離れようと身を
起こそうとした。社が慌てて力を込めてアキラを組み付した。
直ぐにアキラは顔を横に向けて社から視線を逸らすと悔しそうに唇を噛む。
ひどく動揺したその様子だけで十分答えになっていた。
「…オレには関係なかったな、悪い…」
見る見るアキラの体が冷えて強張っていくのを社は感じ、まずいと思った。
(…そおいうことやったんか…)

社の指摘は、図星だった。
合宿の最初の夜、アキラは初めてヒカルと深く繋がる事が出来た。
その時はそれだけでもう十分だった。
自分がいきつく事だけに夢中になっているヒカルが初々しくて、愛おしかった。
自分の中でヒカルが弾ける瞬間の、ヒカルの甘く呻く声を聞けたのが嬉しかった。
いろんな意味で完全にこれ以上なくヒカルと結びつく事が出来たのだと思った。
そんな一方で肉体的には満足出来ないでいる自分が居た。
安らぎと安心感を得る事は出来たが、物理的な快楽には程遠かった。
碁を打ち合った時の脳が溶けるようなあの感覚、あれ以上のものを密かに期待していた
自分がいた。そしてそれをヒカルにぶつける事ができず、こうして代替品で埋め合わせを
得ようとしている自分がいる。


(44)
「…やめて…」
今度は消え入りそうな弱々しい声で、アキラは社に乞いた。この上なく自分が浅ましく思え、
それが社に見透かされたのが耐えられなかった。
「…お願い…もうやめて…社…」
だが社は体を離そうとしなかった。
「…どんなや」
「…え?」
「進藤のやり方を教えてくれ…あいつは…どんなふうにヤるんや」
組み敷かれたアキラが無言で社を見あげる。
「教えてくれ」
社の考えがわからなくて当然のようにアキラは戸惑い躊躇した。
再度腕を突っぱねて社の下から這い出ようともがくが、社に強く抑え込まれる。
ただ社の表情はさっきまでの野獣のような恐ろしいものとうって代わって穏やかだった。
「思い出してみ…、進藤はどんなやった…?」
締め付けるだけだった社の指がアキラ自身を軽く包み、擦りあげる動きになる。
アキラの内部でもゆっくりあやすように社の分身が抽出される。
「…あ…」
強張っていたアキラの体から力が抜け、途切れ途切れに答える。
「優しい…よ…進藤は…。可愛くて…仔犬みたいに…胸に吸い付いて離さなくて…」
すると社の唇がアキラの胸の突起に吸い付いてきた。



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