誘惑 第三部 43 - 44


(43)
「進藤…」
低い、甘い声がオレを呼ぶ。
目を開けると塔矢がオレを見ている。
オレを捕らえて放さない、真っ黒な、深い、深い色の瞳。
久しぶりに見たその目の色に、ゾクリと背が震える。
「…いい?」
そんな目で見られたらオレが逃げられないって知ってるくせに、わざわざ聞いてくんなよ、馬鹿。
「やだって言ったらやめんのか?」
「本当に本気で嫌なんなら。嫌なの?」
嫌なはず、ない。
それどころか。

おまえは知らない。
おまえがいない間、どんなにオレがおまえの事を思ってたか。
オレがどんなにおまえが欲しかったか。
おまえを想ってオレが何してたかなんて。
おまえは知らない。
だから教えてなんかやらない。
欲しくて欲しくて待ち焦がれてたなんて、言ってなんかやらない。
だからおまえももっとオレを欲しがれよ。
欲しくて欲しくてたまらないって目で、オレを見ろよ。
オレはおまえのそんな目がたまらなく好きだ。
オレに欲情してるおまえの目が好きだ。


(44)
「やめられるのか?」
煽るように言い返してやると、
「本気で嫌ならね。」
でも違うだろ、と言いたげに塔矢は嫌みったらしく笑う。
オレはそんな塔矢の顔にくらくらしてしまう。
そんなくだらない言い合いをしながら、塔矢の手は器用にオレの服を脱がせていく。
悔しいからオレも塔矢の服に手をかける。
汚ねーよ、おまえ。つい昨日まで、オレがいなきゃ生きてけないみたいに甘えて擦り寄ってたのは
誰だよ。オレの腕ん中で甘えた泣き声を上げてたのはどこのどいつだよ。「しんどう…もっと…」
なんて、涙を溜めながらオレに抱きついてたのは誰なんだよ。
悔しいよ。
結局主導権握ってるのはおまえじゃんか。
おまえがやりたい時にはやらせてやって、して欲しい時にはお望みどおりしてやるほど、そこまで
オレはおまえに都合よくなんてないぞ。そうそう自分の思い通りに全部動くなんて、思うなよ。
ただ。
ただ今日は。
オレもずっとして欲しかったからさ。
だからやらせてやるだけなんだからな。
だから、もっと熱くなれよ。オレを熱くしろよ。
何も考えられないくらい、熱くしろよ。オレを滅茶苦茶にしろよ。
でないと二度とやらせてなんかやらねェ。



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