誘惑 第三部 44


(44)
「やめられるのか?」
煽るように言い返してやると、
「本気で嫌ならね。」
でも違うだろ、と言いたげに塔矢は嫌みったらしく笑う。
オレはそんな塔矢の顔にくらくらしてしまう。
そんなくだらない言い合いをしながら、塔矢の手は器用にオレの服を脱がせていく。
悔しいからオレも塔矢の服に手をかける。
汚ねーよ、おまえ。つい昨日まで、オレがいなきゃ生きてけないみたいに甘えて擦り寄ってたのは
誰だよ。オレの腕ん中で甘えた泣き声を上げてたのはどこのどいつだよ。「しんどう…もっと…」
なんて、涙を溜めながらオレに抱きついてたのは誰なんだよ。
悔しいよ。
結局主導権握ってるのはおまえじゃんか。
おまえがやりたい時にはやらせてやって、して欲しい時にはお望みどおりしてやるほど、そこまで
オレはおまえに都合よくなんてないぞ。そうそう自分の思い通りに全部動くなんて、思うなよ。
ただ。
ただ今日は。
オレもずっとして欲しかったからさ。
だからやらせてやるだけなんだからな。
だから、もっと熱くなれよ。オレを熱くしろよ。
何も考えられないくらい、熱くしろよ。オレを滅茶苦茶にしろよ。
でないと二度とやらせてなんかやらねェ。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!