トーヤアキラの一日 44 - 45
(44)
先に根を上げたのはヒカルだった。すでに二回、アキラによって到達させられていたが、
アキラの巧みな口撃に三回目の限界を迎えようとしていた。口の中でそれを感じた
アキラは、自分の神経を下半身に集中させて、ヒカルの愛撫を全身で感じる事にした。
生暖かく柔らかい壁に包まれて刺激されるアキラの分身は、極楽界に居るようで、全身が
震えて今まで以上に汗と涙が溢れてきた。
お互いに、自らの腰も動かして最後の快感をむさぼり合い、絶頂へと到達した。
「!ん!グうぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「!うぅ!ん!うぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
二人はほぼ同時に、くぐもった嬌声を上げた。
ヒカルは嬌声と共に口を半分開けてしまったので、放たれた精を全部は飲み込めずに、
口から頬にかけて白濁液を流しながら顔をアキラの分身から離して大きく空気を吸い
込み、何もかも弛緩した状態で横たわった。
アキラは、ヒカルの分身を咥えたまま吐き出された精をうまく飲み込むと、急激に
身体が重くなるのを感じて意識が朦朧として来たが、口の中で脈打つヒカルの分身が
愛しくて仕方なく、意識が無くなる直前まで舌を動かして舐めまわしていた。
暖房を入れていない部屋の中は、それでも二人の熱気でむせ返っており、静かな部屋の
中には二人の息遣いと柱時計の振り子の音だけが響いていた。
一体どれ位の時間、二人は横たわったまま意識を飛ばしていたのだろう。
最初に動いたのはヒカルだった。そしてアキラの息が下腹部に触れることで、アキラが
まだ自分の分身を咥えたままでいる事に気付いた。
「なぁ、トーヤ・・・・・・トーヤ?」
そう言いながら上体を起こしてアキラを見ると、アキラは黙ってヒカルの股間に顔を
埋めていた。
「おい、聞こえるか?トーヤ?トーヤ!・・・・・・トーヤってば!」
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アキラは意識を失っているのか眠っているのか自分でも定かではなかったが、夢の中を
漂っているようで重かった体がふわりと浮いているような気分だった。
他の人間が触れることの出来ないヒカルの身体の一部分を手に入れた事で、刹那的な
満足感で一杯だったが、何か言い知れぬ物足りなさを感じてもいた。
ヒカルの淫靡に輝く眩しい顔が目の前をグルグル回って誘っているのに、抱き締める事が
出来ずに、もどかしい気持ちで追いかけているような気分だった。
遠くから自分を呼ぶ声がして、だんだん意識が現実に戻って来る。あれ程熱かった身体も
冷めて来て、部屋の空気を寒いと感じるようになっていた。
大好きなヒカルの自分を呼ぶ声が段々はっきりと聞こえて来た。
ヒカルは心配になって大きく体を動かそうと下半身に力を入れて横に動こうとした。
その瞬間、アキラは条件反射の様に口の中のモノを奪われまいと、強く噛み付いて来た。
「うわぁぁ!痛ってェ!!!バカ!!何すんだよ、痛いだろ!!やめろよ、塔矢!!」
強い口調でヒカルに怒鳴られて、やっと完全に意識が戻ったアキラは、慌てて顔を上げた。
アキラは下を向いたまま声を出す。
「ゴ・・・・ごえん・・・・」
「??塔矢??」
アキラはずっと口を開いてヒカルの分身を咥えていたので、顎がガクガクになっており、
口を閉じる事が難しく、言葉をちゃんと喋る事が出来なかった。
二人は起き上がって向かい合った。
情けないアキラの顔を近くで見て、ヒカルは大声で笑い出す。
「ウッヒャヒャ!!お前のそんな顔、始めて見たぜ。アッハハハハ」
「ヒ・・・・ひろい・・・・」
「そんな泣きそうな顔する事ないだろ。どれ・・・・」
ヒカルは穏やかな表情でアキラの両顎を手のひらで押さえて、軽く撫で回した。
「お前、やり過ぎなんだよ、もう、全くさぁ・・・・・・ほら、ちょっとゆっくり口を閉じて
みろよ」
「あん・・・・あ、ううぅぅ・・・いたっ・・・・」
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