失着点・龍界編 44 - 45


(44)
「…それだけに惜しいよ。それなりに基本からきちんと指導を受けていれば
プロの世界に入ることだって…」
「黙れって言っているだろう!」
再びえぐられるように激しくされてヒカルは表情を歪め、脂汗を流す。
三谷はヒカルのペニスを掴んでそこにも激しく刺激を与えだす。
「ううっ…ぐっ…!」
快感には程遠い激しさにヒカルは身をよじる。
そうされながらもヒカルは自分よりも三谷の方が痛みに耐えているように
思えて仕方がなかった。
「…三谷、お前の居るべき場所は、こんなところじゃない…」
「貴様に何が分かるって言うんだよ!!」
ヒカルに苦痛を与えていると分かっていながら、三谷は動く事を
止められなかった。
…オレは、何をこんなに腹を立てているんだ…?
今まで誰かに対して腹を立てるなんてなかった。他人には何も期待せず、
その空白を金で買える物で埋めていた。でも、自分が何を本当に
欲しがっているのか、それすら分からなかった。
ヒカルのお陰でそれがようやく分かりかけた。
だが自分を変えてくれたはずのそのヒカルが、あれだけ望んでようやく手に
入れたはずのものをあっさり手放した。その事で自分の気持ちが踏みにじ
られたような気がした。三谷にはそう思えた。だから許せなかった。
だがもうそれらの事も三谷にとってはどうでもいい事だった。
…どうでもいい事のはずだった。


(45)
ヒカルが目の前から去ったあと、再び虚無の中で、三谷は碁を打つことに
なった。低額ではあったが賭碁に再び手を染めた。
そんな時、沢淵と出会った。
「君には才能がある。」
そう言われて沢淵から囲碁の特訓を受けた。それによって負ける事が
ほとんどなくなった。面白いように金が手に入った。
その頃に多く金を賭ける代わりに体を提供するよう提案された。
もちろん最初は断った。
「大丈夫。君は十分強い。これはゲームだ。負けるのが嫌だったら
もっと強くなれ。」
今までとは桁が違う賭け金に心が動いた。スリルを感じた。
胸の奥に空いた部分を埋めてくれるような気がした。
沢淵の店で「仕事」を始め、乱暴な客から身を守るという約束で
得た金のいくらかを納める事に同意した。
実力もないくせに三谷の体に興味を持った大人達から大金を奪う度に
「ざまあみろ」と思った。
だがある日手強い奴が来た。後で、元プロ棋士と分かった。
勝負に負け、ホテルに連れて行かれていざとなった時、三谷は怖く
なって逃げた。
その元プロ棋士が激怒して沢淵の店が賠償金を支払わされた。
「悪いが、落とし前はつけてもらわないといけないなあ。」
その時初めてあのマンションに連れて行かれた。



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