Shangri-La第2章 45
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(……いや、いけない。そういう事を考えるのは…)
昨晩、緒方の口からその言葉を聞いたときは
虫酢が走るほどの嫌悪感を覚えた筈なのに、
そして、ヒカルがそんな事を言われたら
きっと同じように不快に思うだろうに
それでも、そんな考えに染まり始めている自分がいる。
そんな自分を、ヒカルが、不快感も露に見下ろす姿が浮かんで
アキラは慌てて考え事を止めようと試みた。
そういえば、ヒカルは話しかけても来なければ
お茶を飲む気配もない。
アキラの髪を弄るヒカルの手だって、いつの間にか止まっている。
ヒカルの片腕に身体を支えられ、なおかつ額の上にはヒカルの頬が
乗せられた今の状態では動くこともままならないが、
それでもなんとか様子を探ると、規則正しい呼吸音だけが聞こえる。
あまりに早く寝入ってしまったのは、疲れているからだろうか。
そっとアキラが身を捩ると、肩に置かれたヒカルの手が
音を立てて畳の上に落ち、それでもヒカルは反応しなかった。
「進藤、進藤……ここで寝ないで、進藤…」
ヒカルの反応は鈍い。
アキラは仕方なく立ち上がり、布団の用意を始めた。
「進藤、寝るなら布団で寝て…、ほら、進藤」
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