トーヤアキラの一日 46
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ヒカルに心配して貰ってアキラは嬉しかった。ヒカルの温かくて柔らかくて優しい手が
自分の顎に当てられているのを感じるだけで幸せな気分で一杯だった。
ヒカルに言われるままに、少しずつ顎を動かすと、ガクンと口が閉じた。
ヒカルの手が離れるのが嫌で、自分の手を上から重ねてヒカルを真っ直ぐに見詰める。
「進藤・・・・・好きだ」
そう言って体を引き寄せようとすると、ヒカルは慌てて手を引いてしまった。
「もうダメだってばぁ。寒くなって来たからズボンはくぞ!・・・ったく痛かったぁ」
と言って、ヒカルは自分の息子の無事を確認する。
「特に傷はついてないみたいだけど、なんだか・・・ふやけてる気がする」
「ごめん・・・・・・イヤだった?」
「別にイヤだなんて言ってないだろ!・・・イヤじゃないさ・・・・。だけどさ、お前ったら
咥えたまま離さないからさぁ、食べられちゃうかと思ってあせったよ」
「食べられるものなら食べたいよ・・・・・」
アキラの思い詰めた表情を見たヒカルは、溜息をついて諭すように言う。
「ったく冗談はよせよ、もう。・・・あのな、食べたら無くなってしまうだろ?そうしたら
お互い困るんじゃねーの?」
「わ、分かっているよ、そんな事・・・冗談だよ・・・・でも本当にイヤじゃなかった?」
アキラは子供が親に分からない事を尋ねる時のように首を少し傾けながら心配そうに問う。
「イヤなんかじゃないって言ってるだろ!だいたいそんな事まじで聞くなよな・・・」
「どうして?いいじゃないか。どんな感じだったか聞かせて欲しいと思って・・・・」
「どんな感じとかさー、んな事聞くなってば!そう言うお前はどうなんだよ!?」
「・・・凄く気持ち良かった・・・」
そう言いながら、アキラはヒカルの頬に両手を添えて軽く口付ける。
その時の手の感触で、ヒカルの頬が少し濡れていることに気付き、舌でペロペロと
舐め取る。そのアキラの恍惚とした妖しい表情にヒカルは呆然と見惚れていた。
アキラは舐めて濡れた頬をシャツの袖で綺麗に拭いて、ヒカルを見上げた。
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