誘惑 第三部 46
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オレのものだ。塔矢。オレの、オレだけの。
きっと独占欲なら、オレだって相当だ。きっとこいつは気がついていないんだろうけど。
オレ以外のヤツがコイツを見るのがイヤなんだ。知らないヤツが擦れ違いざまにおまえを振り返るだけで
イヤなんだ。自分で自分の価値をわかってないこいつが不安で、そんな無防備なこいつを人目
に晒すくらいならいっそこの部屋にずっと閉じ込めておきたいって思うくらい、オレはこいつを独り
占めしたいんだ。
「オレを…みろよ…っ!」
目を閉じて快楽を貪る塔矢の両腕を掴むと、一瞬アイツは動きを止めて薄目を開けるけど、突き
上げるオレの衝撃に耐え切れずにまた頭を仰け反らすから、オレの目にはアイツの白い喉しか
見えなくなる。髪を掴んでこっちを向けさせると、小さな悲鳴を上げてオレを見たアイツは、オレの
目を見て薄く笑った。
貪欲な瞳がオレを煽る。淫らな笑みを貼り付け、オレの腰に脚を絡ませたまま、もっともっとよがら
せろとオレを強請る。
こいつはいっつもそうなんだ。
オレの嫉妬も、独占欲も、オレのつまんない焦りとかプライドとか、そんなものをこいつは全部全部
飲み込んで、それをみんな自分の熱の燃料にしちまう。
悔しいよ。
いっつもオレばっかり追いかけて、焦って、不安になって。そんなオレのイヤな気持ちを、そんなに
美味そうに飲み干すなよ。どんなに乱暴にしても、いたぶってみても、逆に優しくしても、焦らしても、
何したって嬉しそうにしやがって。
畜生。
塔矢の馬鹿野郎。
そんなにブラックホールみたいになんでもかんでも飲み込むんじゃねぇよ。
たまには負けて降参したっていいじゃないか。
畜生。そうやって身体ごと打ちつけるオレに応えるように、あいつの声が上がる。その声に煽られて
オレは更に激しく動く。一際高い声をたててオレを締め付けようとするあいつにタイミングを合わせて、
オレはあいつの奥にオレをぶちまけてやった。
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