初めての体験+Aside 46
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社が目を覚ましたとき、アキラはいなかった。身体の拘束をとかれ、きちんと布団に
寝かされていた。昨夜のことは夢かとも思ったが、身体に残る倦怠感と、腰の痛みが現実だと
告げている。ふと、辺りを見回せば、お香らしきものの燃えかすが残っていた。夕べの
甘い香りはコレだったのか…。思い出すだけで顔が赤くなるような行動の数々は、
もしかしたらこのせいだったのかもしれない。そうだと言って欲しい。それとも、自分には
ヒカルと同化願望があるのだろうか?どっちかって言うと、身体は合体させたいけど…。
結局、三日間まともに眠れた日は一度もなかった。ふらふらと廊下を歩く社の背後から
ヒカルが飛びついてきた。
「おっはよー。」
今日も元気いっぱいだ。ヒカルもアキラと夕べしたんだっけ?アキラってタフなヤツだ。
「社、今日も目が赤いぜ…寝てないの?」
「進藤はよう寝れた見たいやな?」
社が欠伸混じりに問いかけると、ヒカルは元気よく答えた。
「うん!疲れてたのかな〜枕に頭つけた記憶ネエもん…」
なに!?じゃあ、昨日アキラが言ったことは全部ウソ?
『オレ…アイツが進藤とヤッたってゆうたから…』
あんなことや、こんなことまで……泣きそうだ…。
その時自分はきっと情けない顔をしていたのだろう。ヒカルが手招きをした。
「?」
何だろうと思いつつ、ヒカルの目線に合わせて身体を屈める。グイッと襟元を掴まれて、
ヒカルの方に引き寄せられた。そのまま、唇が触れる。
すぐにヒカルは身体を離した。社の耳に唇を寄せ、そっと囁く。
「大阪に帰る前に一度しような?」
悪戯っぽい笑顔が眩しい。
「…ホンマ?」
「ホンマや!」
間抜け面で訊ねる社に、ヒカルはおどけて返事した。幸せを実感した瞬間だった。
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