平安幻想異聞録-異聞- 49


(49)
結局、ヒカルが近衛の家に帰り着いたのは、日も落ちてすっかり暗くなってからだった。
足腰がなんだかふわふわして、おぼつかないのを、佐為が支えて送り届けてくれた。
そんなヒカルを見てとって、ヒカルの祖父が
「なんじゃ、警護役のくせに、その当の佐為殿にこのように手間をかけさせるとは…」
と、小言をいう。ヒカルがそんな出仕先でそんな状態になってしまったのが、
自分にも責任あることと自覚はしている佐為が、困った顔をして祖父をいさめた。
「佐為殿は、公家の出身にしては、実を知るよく出来た方じゃ。我が家の
 いたらない主を送り届けてくれた礼に、今夜は秘蔵の酒を出しましょう」
その佐為を、祖父は気に入ったのか、酒を勧め、なんだかんだと言いながら、
結局佐為は近衛の家に泊まることになってしまった。

「ごめん。今日は自分のうちで寝たかったんじゃない?」
夜も更け、自分の布団と並んで整えられた、佐為の布団を眺めながらヒカルが言う。
「いえ、おいしいお酒をいただきました。楽しかったですよ」
言いながら、佐為は床に入る。ヒカルもそれにならった。
「ヒカルの祖父殿も碁を嗜まれるそうですね」
「あー、でも、下手の横好き」
「今度、指導碁をと、頼まれました」
「しょうがねぇなぁ。佐為の負担にならない程度に適当に相手してやってよ」
「ヒカルの祖父殿とあっては、適当にというわけにはいきませんよ。懇切丁寧に
 指導させていいただきます」
「悪いな」
「いいえ」
静かに佐為が目を閉じるのを見て、ヒカルも目を閉じた。
昼間の疲れも手伝って、ヒカルが深い眠りに入るのに、いくらも時間はかからなかった。



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